いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「私が求めてたのはっ、佐山君じゃないっ…、久世君だったっ…」

最後にそう呟くと、久世玲人の目が見開いた。

瞬きひとつせず、ジッと穴が開きそうなほど見つめられている。


何も言われないこの沈黙の間が耐え切れず、とうとう涙がポロリと零れると、久世玲人は突然ガバッと身を起こし、ソファから降りた。


「え……、ちょ、ちょっと、待て…、」

混乱しているのか、あきらかにうろたえてる感じ。


「――――アイツじゃ、ない?」

確認するような久世玲人の呟きに、コクリと小さく頷き返した。


「――――――俺?」

もう一度呟く久世玲人に、もう一度コクリと頷いて返した。





「はあぁあっ!?ちょっと待てっ!!」

そんな怒声が響き渡り、思わず体がビクッと縮こまる。


………え、怒られてる…?

ある意味、自分の想いも告白したというのに、怒られるとは何事だろうか。


「アイツのこと選んだんじゃなかったのかよっ!!」

「……う、うん…」

「断った…!?好きじゃなかったっ…!?」

「う、うん…」

そう答えると、久世玲人は頭を抱える。


「じゃあ今までのあの態度は何だったんだよっ!!俺の前じゃ全然笑わねえし、いっつも困った顔で離れるじゃねえか!!」

「そ、それは、……そのっ、…す、好きだったからっ、どうしたらいいか分かんなくてっ…」

そんな私の答えに、久世玲人はまたしてもピタリと固まる。


私だってこんな恥ずかしいこと何度も言いたくない。極度の緊張感や羞恥心で、また泣いてしまいそうになる。

体を小さく震わせながら涙を堪えていると、久世玲人はこちらに近付き私の顔を見つめてきた。


「――――マジで言ってんの?」


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