いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「どっ、どっ、どうしたのっ…!?」

突然の密着に、真っ赤な顔して慌てふためいた。


「もう少しここにいろよ」

「で、でもっ…!」

「俺はまだ菜都と2人でいたい」

「……っ!!」

そんなことを言われたら、絶句してしまう。

ある意味、「好き」と言われるより恥ずかしいかもしれない。


ただ硬直しているだけの私に、久世玲人はおかまいなしにグイッと思いきり体を引き寄せる。


「きゃっ…!」

あっという間に、背中にはシーツの感触。視界に入る保健室の天井。

ベッドに押し倒されたと理解した瞬間、久世玲人はシャッとカーテンを閉めて隣にドサッと寝転んだ。


「ちょっ…!!なっ、何するのっ…!?」

「何も。ただこうしてるだけ」

そう言って、腕の中に閉じ込めるかのように抱き締めてくる。


「ひゃっ…!!ちょっ…、せ、先生が帰って来たらどうするのっ!」

「その時考える」

「ちょっとっ…!!久世君っ離して…!!」




「…………『久世君』?」

「うっ…」


ジロリ、と睨まれた。

いい加減やめろって言われてるのに、いつまでたっても名前に慣れないのだ。違う意味で心臓がドキドキする。


「れ…、れ、玲人君、離して…」

「君付けされる柄じゃねえんだけど」

「ううっ…。れ、……玲人、離して…」


ごにょごにょとためらいがちに言うと、久世玲人は苦笑しながら「離さない」と呟いて一層力を込めて抱き締めた―――…



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