いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「何見てんの?」

その爽やかな声に、視線を教室に戻した。


「あ、佐山君…」

佐山君は、クラスで一年間学級委員を務めた秀才男子。実は、密かに憧れている…。


「外に何かおもしろいものでもあった?」

「ううん!何も…!」

佐山君の登場で、あのグループのことなんてすぐさま頭からふっ飛んだ。



少し照れながら答える私を見て、春奈がニヤリと笑った。


「私、トイレ行ってこよーっと」

「え!?春奈!?」


そう言って春奈はわざとらしく私たちから離れ、教室から出て行った。


もう…春奈ってば…。

春奈は私が佐山君に憧れているのを知ってる。たぶん、気を利かせたんだろう。


「トイレなんていちいち報告すんなよ」

なあ?と笑いながら、何も気付いていない佐山君がつっこんでいた。
< 5 / 446 >

この作品をシェア

pagetop