【COLORS②】ウィルスバスター 鬼の棲む街
「……」



次の瞬間、俺が見たのは彼女とヤツがキスしている光景だった。



バタッ……



その直後、妃奈が力無く床に崩れて行く。

「……し、しん、たろう」

「彼女にはこれから僕の代わりに動いてもらう、僕の操り人形としてね」

「な、なんだとぅ〜っ!!」

俺は握りしめた拳の行き場を見つけていた。

「さぁ!僕の可愛いお人形さん、あいつを殺しておくれ」

「妃奈っ!」

彼女は龍崎の声に反応するかのように、むっくりと起き上がる。魂が抜けきった冷ややかな眼光。そこには、俺を殺すだけの殺人鬼となった妃奈の姿があった。

「お前!彼女に一体何をした!」

「僕が造った『チェリー』はウィルス媒体だけじゃないってことさ」


カラカラカラン……


空き瓶。まさか──口移しで飲ませたのか!?

「人体に試すのは初めてなんだけどね。液体『チェリー』……数字上では上手くいけばウィルスよりも数万倍も強力なんだよ。君たちはワクチンを打ってるみたいだけど、それもどうやら効かないみたいだね」



「お前は……お前だけは絶対に許さない!!」
< 16 / 21 >

この作品をシェア

pagetop