JUNKー衝動ー
そんなことを考えている内に我が家であるアパートに着く。

2階建てのボロいアパート。

俺の部屋は2階なので、階段を上らないといけない。


階段に目をやると誰かいるようだが、どうでもいいだろう。


カンカンカンと音を立てる錆びた鉄製の階段を上っていくと



「よぉ。ホストのにーちゃんじゃねえか」


まさか。

声を掛けられた。


実は知り合いだったのかと思ったが此処には知り合いなんていないはず。

だから此処にいるんだし。


なので当然聞き覚えない声。誰だよ。


俯いていた顔を仕方なく上げると、ニヤリと笑っている肥えた50歳前後の男がいた。


「…どーも」

男が誰だか忘れたが、つーか、元々知らないのかもしれないが、きっと同じアパートの住人だろう。


一応、返事をしてみると

「おいおい、愛想がないねー。
愛想ってのはホストに必要じゃないのか?」

と返された。


…悪いね愛想がなくて。
だいたい男に愛想なんて振りまかねえよ。

第一アンタ誰だよ。
馴れ馴れしいな。

つか、なんで俺がホストだって知ってんだ?


自慢じゃないが、俺はこのアパートの住人と話なんて全くしてない。

元々、あんま人付き合いしないし。


なのに。




……色々問い詰めてやりたがったが、口を開こうとした瞬間途端に相手にするのが面倒臭くなりシカトすることにした。


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