JUNKー衝動ー
「俺はヤナセってもんだ。よろしく頼む」

「…どーも」

「おいおい俺は自己紹介したってのに、にーちゃんはしないのか?」

「……知ってんじゃないの?」

「………」

「…名前を覚えるのも近所付き合いの一環だと思うけど」


目を泳がし始めたヤナセ。
いいザマだ。
すかさず突っ込んでやったら、


「…ふっ。知ってるぜ、勿論。
只、一応礼儀としてだな」

「……どーだか」


取り繕うようにごちゃごちゃ言い出したヤナセ。

何か言ってるが、絶対知らなかったろ、コイツ。

「で、にーちゃんの名前は?」

「…源氏名はシン」

「…本名は言わねえのかよ」


その流れで強制的に自己紹介させられ、その上文句まで言われた。

勝手に言って来たのは向こうなのに。



「自分も下の名前言ってないくせに」

そう言ってやったら、「それもそうだな」と腹を揺らしながら、がっはっはと笑い出した。

豪快な笑い方。

今の俺にとって神経を逆撫でするもの以外の何物のでもない。

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