JUNKー衝動ー


あっという間の出来事だった。


急に真顔になったヤナセは少女と俺を部屋に上げ、少女をベッドに寝かせると手早く手当てらしいことをしていた。

“らしい”というのは、俺が医療に詳しくないのと、ヤナセが余りにも素早かったからだ。


意外としっかり手当てしているヤナセと反対に、俺は少女を放した時から放心にかなり近い状態になってしまい、とうとうヤナセに「邪魔だ」と別室に追いやられてしまった。








…壁にもたれて座り込んで時間が経つのを待つ。

(…俺の部屋とあんま変わんねぇな…。
あ…同じアパートだから当たり前か…)

阿呆な事は考えるのに、重要な事は頭に浮かんで来なかった。

いや、浮かばせまいとしていたのかもしれない。

頭がぼーっ、とし何だか重い感じがする。

身体も動かす気になれない。





(…前にもこんな感覚になった…)


ふと、そう思い出した。
…状態はもっと悪かった覚えがあるけど。


(…何時?)



……“あの日”だ。




――そう、“あの日”。

全てがどうでもよくなり、希望という希望は絶望に変わった日。


(…ま…そうだよな…)





俺の全ての希望はアイツがくれたのだから。



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