JUNKー衝動ー
耳を疑った。



怪我が……無い?


有り得ない。

あれだけの血が出てたのに?

あの服を思い出す。
白い生地を赤く染めるモノ。

一瞬、綺麗な模様だと思ったぐらいの、量と、鮮やかさ。



(…有り得ない)


ヤナセの顔を見る。

ヤナセが嘘でも言ってんじゃねぇのか、とか思って。



「怪我は…無い」

ヤナセがもう一度言う。

だがヤナセ自身も困惑した、怪訝な顔をしていた。



「……あれ程の血がでてたのにか?」

疑問を直に問うてみる。

そしたら、

「あれはあの子の血じゃねぇ」

…意外な答が返ってきた。


「…は?……あれ、血じゃないのか?」

「いや、血だ。
…ただし、彼女のではない」



どういう事だよ?

そんな意味を込めてヤナセを見つめた。


それを読み取ったのかヤナセは口を開いた。

重そうに、ゆっくりと。


「…だから、あれは彼女以外の人間の血だ」


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