JUNKー衝動ー

…走る。

ひたすら走る。

疲れなんて感じない。

頭の中はカラッポで考えることをしなかった。


途中、何人かとすれ違ったが、チラと一瞬見る奴がいる程度で皆何も無かったように通りゆく。


(…相変わらず、他人には無関心な街だな…)

ふっとそんな事を考える。

(ま、端から見ると、俺もああいう感じなんだろうな…)


他人がどうなろうと、何だろうとかまわない。

自分は知らない。
自分には関係ない。

だから、どーでもいい。

(…みたいな?)

自分の事しか考えてねぇ。
徹底的な利己主義。

…嫌な奴ら。


そう思ってるくせに同類の自分は滑稽な気がした。

誤魔化すように、偽るように、口角が歪んだ。

…中身はきっと、それ以上に歪んでいるだろうに。



…そんな事を考えていたからか。

俺は向こうからやってくる人がいることに気付かなかった。

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