JUNKー衝動ー
彼女はスピードを落とすことなく、走っている。

(早く追いつかないと…っ)


焦ってスピードをかける。

しかし、思うように距離は縮まない。

余裕だとか思っていた自分に舌打ちした。




そして、例の道路が見えだした。

やはり車の量が多い。
速度だって違反じゃねぇのかと思う程。

これに飛び出して行ったらマズい。
本気でマズい。

(…流石にコレは止まるんじゃないか…?)



だいぶ近くなった背中を見る。

彼女は今も周りが見えてなさそうな走り方だ。

かなり辛そうにもかかわらず、少し遅くなったと思ったら直ぐに戻す。


…彼女は何故あれまで必死なのか…。

…逃げてる?
何に?
誰から?

…何で?


そこまで考えてた所でとうとう道路に出た。

俺はこの時、彼女も止まると思ってた。
だから、無意識に少しずつ遅くなっていたのた。

…甘かった。



彼女はそのまま飛び出していった。

大量の車の中を。

歩行者の信号は赤なのに。


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