JUNKー衝動ー
コンクリートとタイヤのゴムが擦れ、辺りに悲痛な音が響いた。


―――――ドンッ!


鈍い音がした。








………視界にはビルの広告とくすんだ空。


「……痛ってぇ……」

俺は道路に身体を打ち付けていた。

それが思っていたよりけっこうな衝撃で。

しかも、日光でコンクリートは熱っついし。

顔を歪ませる俺の腕の中には、あの女の子。

彼女は何が起こったのか分かっていなさそうで、ただただ、ぱちくりと瞬きした。



……まぁ、俺も驚いてるけどね。
この状況に。

「あ…危ねぇだろ!!気ぃつけろや!!」

めちゃくちゃ焦ったらしいトラックの運転手が車窓から叫ぶ。
そしてそのまま走り去っていった。


俺は歩道に仰向けに倒れたまま、それを見送った。


ジンジンと背中が痛むのを感じながら、腕の中の温もりに安堵する。



−−生きてる。
と、呟いた。

二人共生きてる。
事故らずに、…助かった。

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