JUNKー衝動ー
思い出していると、余りの情けなさにフッと息が漏れた。

(後ろにひっくり返るとか…。
ダッサ……)


…漏れた息はそのまま溜め息となり、空気に紛れて消える。

体が怠くてぼーっと空なんかを見上げてたら、腕の中の彼女がもそり、と身動きしたのを感じた。

目線を腕の中に向けると彼女と目が合う。


少女は目が合った瞬間、さっきまでもぞもぞ動いてたのを急にピタリと止め、硬直した。


…向こうが目をこっちに向けたままなので何となく俺も目線をずらさない。

「…。」

「…。」

互いに黙したまま見つめ合う。

「……。」

「……。」

彼女は息も止めてんじゃねぇのか
と思うぐらい固まっている。

「………。」

「………。」

………。

…何の我慢大会だよコレ。

いい加減首痛ぇし。
目とか瞬きしてないから疲れたし。
…もういいだろよ。


残念ながら、我慢強くない俺はあっさりと負けを認め、声をかけた。


「…………おい。」

そのとたん、ビクッと少女は反応した。

じっと見ていた目も逸らされ、俯くように下を見る。


そして、
…気のせいかも知れないけど。

少しかたかたと震えていた。
…気がする。


その姿は何かを怖れているかのようで。

まるで、肉食獣に怯える小動物、だった。

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