同居から始まる恋もある!?
「サチ、今大学生だっけ?」
「そうだよ」
「そっかあ。大きくなったね。俺も、年とるわけだよな」
「何言ってんの。まだ25でしょ」
ストローを口に咥えながら、なにやら感慨深げにそんなことを言う。
それまで品行方正だった芹生は、高校三年の終わりからほとんど実家に寄り付かなくなり、高校を卒業すると同時に田舎を出てしまったのだ。原因は、受験に対する両親との仲違いだったようだけれど、それは単なるきっかけに過ぎなかったのだろう。彼が抱えていたものが何だったのか、わたしは知らない。
幼かったわたしは、大好きだった芹生に置いて行かれたことが何より悲しかった。
裏切られたと、恨みさえした。
あれから、もう7年だ。
涙なんてすぐに枯れて出なくなったし、わたしだって今ではいい大人だ。
真面目に勉強して、大好きな恋人だっていて、セックスもお酒も楽しめる年齢になってしまった。
いつまでも、憧れだったあなたを思い続けるわけにいかないのだ。
「ごめん、芹生。わたしには無理」
過去と現在を明確に示す、境界線を引く。
過去の思い出に引きずられて、ようやく築き上げたものを崩してたまるものか。
「わたし一人だけでいっぱいいっぱいなの。さっき見たと思うけどさ、武……わたしの彼氏だよ。大好きだから、少しでも一緒にいたいんだ」