同居から始まる恋もある!?
顔を見るのが怖くて、ずっと俯いていた。
そこまで言って、おそるおそる芹生を見上げれば、相変わらずの笑顔を浮かべたまま柔らかく目を細めてわたしを見つめていた。どうして、ここまで拒否されてそんな表情出来るのか理解に苦しむ。
「夏が終わるまで」
「え?」
「それまでに、絶対住む家をみつけて出ていくから」
久しぶりの芹生は、相変わらず綺麗な顔をしていたけれど、あの頃あった少しの幼さが消え、代わりに精悍さを湛えている。どきりと心臓が鳴る。引いたはずの熱がぶり返しそうで怖い。
怖い、のに。
「……あーあ。昔は、かっこよかったのになぁ」
「今もイケメンでしょ」
「なにいってんの。ただのへたれじゃん」
肩を落としながら、いいよ、と芹生に告げていた。芹生は一瞬、その返答に気づかなかったらしい。
ぱちぱちと目を瞬かせたあとに、ゆっくりと口を開く。
「まじで?」
「まじ。いっとくけど、期間限定なんだからね」
「ほんとに!?よかった!この暑いのに、流石に野宿はキツかったんだよな」