同居から始まる恋もある!?
Summer #2
キャンパス本館から外れたところにある図書館。
夏休みの課題をやりながら、わたしはいつのまにか眠ってしまったらしい。
机で突っ伏していると、隣から肩を数度叩かれた。
ゆっくり顔を上げれば、そこには数少ない友人のひとりである美帆が立っていた。
「おつかれ。課題進んだ?」
「……ううん、全然。なんかほとんど寝てた」
くあっと欠伸をしながら伸びをすれば、身体が固まりきっていてごきごきと嫌な音を立てる。
「きのうもバイトのヘルプ頼まれちゃって。結局深夜2時まで」
「サチ、お金でも困ってるの?」
呆れたようにそういう美帆に、わたしはそういう訳じゃないんだけど、と返事をした。
上京して、すぐに始めた居酒屋でのアルバイトだ。夫婦ふたりで経営する小さな店で、時給だって良いわけじゃないのだけれど、初めての東京で右も左も分からない私をいつも助けてくれた恩がある。ホールの男の子が急に辞めてしまって、困っていると聞けば手伝わずにはいられないのだ。
「メッセージ着てるよ」
振動するスマホには『芹生』の文字が。