同居から始まる恋もある!?
「マスター」
芹生の呼びかけで、穏やかに微笑むマスターが現れる。
「改めておかえりなさい、マスター」
「ありがとう、芹生、それに皆も」
乾杯、とグラスを持ち上げてゆっくりとそれに口をつけた。
わたしは芹生の隣に立つ彼のもとへ歩み寄る。
「…あの、」
「あなたが、サチさんだね」
彼はにっこりと笑いながら、わたしに右手を差し出した。つられてその手を握る。
「このバーを経営してる、三丘晴海です。サチさんの話は、芹生からよく聞いてるよ」
「深山サチです。わたしも、彼からたくさん話を聞きました。人生の恩人だって。こちらこそ、どうぞ宜しくお願いします」
ぺこりと頭を下げた。