同居から始まる恋もある!?
部屋についた頃には11時をまわっていた。
折りたたみのベッドを開いて、なんとか美帆を寝かすことに成功した。
「はい、お水」
「さんきゅー。ああ、ビールもだけど、料理もめちゃくちゃ美味しかった!しかも凄いサービスしてもらえたし。サチ、素晴らしい店で働いてるな!」
「……そりゃどうも」
すっかり居酒屋が気に入ったらしい芹生は、上機嫌のままシャワーを浴びにリヴィングを出る。
芹生の姿が見えなくなったことを確認し、そっとスマホを確認してみれば、着信が12件とメッセージが4件。相手はすべて武だった。
―最悪。一度ぐらい携帯を確認すればよかった。
慌ててベランダに出て、通話ボタンを押す。
17コール目でようやく、「もしもし」という声が聞こえた。
「もしもし、わたし」
「…おー」
あからさまに不機嫌だった。
武は、芹生がうちでしばらく暮らすことになったのが気に食わないようで、ここ最近はいつだってずっと、そんな調子だった。
「ごめんね、連絡遅くなっちゃって」
「別に。サチも忙しかったんだろ?仕方ないよ」