同居から始まる恋もある!?
Summer #3
『やっぱ遠距離レンアイなんてダメだ』
あれは確か、居酒屋でアルバイトをはじめて3ヶ月くらいのときだった。
ようやくホールを一人でまわせるようになったときに、カウンターでひとり腐って潰れていた男を前に、心底困りきっていた。
それが、現在の恋人である武だった。
『お客さーん、閉店なんですけど』
『むにゃむにゃ…、て、ぅ熱ちィ!』
熱々のホットタオルをぺたりと顔にひっつけてやれば、男は勢いよく飛び起きた。
『目、覚めました?』
『……おかげさまで』
『それ飲んで、さっさと帰ってくださいね。店閉めらんないんで』
彼は、手に持ったタオルでごしごしと顔を拭いて、水を一気飲みしたあとに少しふらつきながら立ち上がる。
会計だけは済ませてあったようで、ぺこりと一礼して店を出て行った。
奥から、店長が顔を覗かせる。
『やあっと帰ったかい。さっちゃんも早く着替えてあがりなよ。そろそろ夜も明けるだろう』
『……はあい。お先に失礼します』