同居から始まる恋もある!?
着替えて外に出ると、既に太陽が昇り始めていて、生まれたての金色の光が疲れた目に染みる。
さあ帰ろうと店に背を向けて歩こうとしたとき、足に何かが引っかかった。慌てて足元をみれば、店先で爆睡していたのは先程店で潰れていた男だった。
鞄の中身は散乱していて、傍に落ちていた財布の口は開いていた。もしかして、もしかしなくても、誰かに中身を擦られてしまったに違いない。
ふと見れば、傍に落ちていた定期入れの表には学生証が入っていた。
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誠東学園大学
文学部 英米文学科
山下 武
Yamashita Takeshi
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しゃがみこんで、まじまじとそれを見る。
『……同級生じゃん』
マンモス校のうちは、それこそ一学年が何千というレベルなので、もちろん同じ大学だからって彼を見たことは一度もない。
けれど、このちょっとした偶然と無理矢理店を追い出したということへのちょっとした罪悪感から見捨てるということも出来ず、わたしはペシペシと彼の頬を叩いた。