同居から始まる恋もある!?
深く頭を下げながら、なかなか顔をあげない山下さんを前にわたしは首をかしげる。
『あの?』
問いかけに、そのままの姿勢で『もうひとつだけ』と言った。
『帰りの電車賃貸してください。お願いします』
そんな言葉に、きょとんとしたあとに、わたしは堪えきれずに大きく笑った。
顔を上げた山下さんは恥ずかしそうに頬を赤く染めていた。
もう二度と会わない予定だったそのひとと、お金を返したいからという理由で連絡先を交換し、もう一度キャンパスのカフェテリアで再会した。
そうして七度目のデートで、同じように顔を真っ赤にさせた山下さんに告白され、わたしは人生ではじめての彼氏が出来た。