同居から始まる恋もある!?
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つう、とこめかみを一筋涙が零れるのに気づいた。
見上げた天井は、自分の部屋のものではない。
そうだ、今日はひさしぶりに武の家に泊まりに来ていたのだ。だから、あんな昔の夢を。
隣で気持ちよさそうに眠っている武をみて、どうしようもなくもどかしい気持ちでいっぱいになる。
胸をかきむしりたくなるくらいに、愛しい。
それと同時に、ここ最近のことを申し訳なく思った。
わたしの今一番近くにいて、一番わたしを知っている人はあなただよ。
そんなことを無償に伝えたくて、もぞもぞと布団の中を移動してぎゅっと武に抱きついた。
「……ん、サチ、どうした?」
「ごめん。起こした?」
「いいよ、全然」
武も、その長い腕を伸ばして抱き返してくれた。彼の吸う煙草の、スパイシーな香りに安心する。
こんなにも、心が満たされている。
「夢を見ちゃった」
「なんの?」
「武と出会ったときの夢」
そういうと、あからさまに嫌そうな顔をする武にわたしは小さく笑った。