同居から始まる恋もある!?
「…おーい、いつまで休憩してるつもりだい」
「むにゃ……」
「こらっ」
声と共に、容赦なく頭を引っ叩かれて、勢いよく頭をあげた。
はっと我に返ってきょろきょろと辺りを見渡せば、そこは昔から世話になってるアンティークバーの控室。
人手が足りないときなんかに、時折こうして借り出されてはアルバイトとしてカウンターに出ていた。
これでも、数年前からマスターのしたで修行させてもらったからカクテルの腕もお墨付きだし、オリジナルのカクテルは常連客にも評判がよかったりする。
「芹生、頼むからカウンター出る前に鏡よく見てからきてね」
「え、なんスか?」
「よだれ垂れてるから」
慌てて口元をごしごしと拭う。
マスターは呆れたように溜息を吐きながら、寝癖がついてしまった俺の頭を手櫛で無造作にといた。
首もとのネクタイを調節しながらカウンターに立てば、店の常連であり友人の律がいつもの定位置でカクテルに口をつけていた。
「ひさしぶり、律。きょうはひとりなの?」