同居から始まる恋もある!?
俺の言葉に、律はぎろりとその切れ長の瞳を目一杯吊り上げて睨みつけてくる。
「……ひとりじゃわるいかよ」
「いや、愛しの茜ちゃんの姿が見えないなぁと……」
「芹生に関係ねえだろ!おかわり!」
ぐいっと一気に飲み干して、グラスを差し出す。頬杖をついたままチッと舌打ちをしてきた(……態度最悪!)
子供の時からずっと片思いをしていたという幼馴染の茜ちゃんと、先日めでたく付き合うことが出来たというのに、早速喧嘩をしたらしい。
ヤケ酒かよ。
今日は火曜ということもあって、律以外に客入りはない。
もともと小さな店ではあるし、知るヒトぞ知る、といった場所だから新規の客は多くないようだけど。
律は、俺がつくってやった酒に口もつけず、あろうことかそのままつき返してきた。不思議に思って律見れば、「飲めよ」と顎で指図してくる。
なんだっていうんだよ。
「……あのさぁ、律。俺、いちおう勤務中なんだけど」
「いいじゃん、どうせ暇だろ」
声が聞こえていたのか、マスターが端でボトルのチェックをしながらこちらに向かって静かにほほ笑む。目は、ちっとも笑っていないのが恐ろしい。