同居から始まる恋もある!?
くらりと揺れた頭をおさえた。
「……やばっ」
明らかに酔ってる!俺!
ちらりと隣に立つマスターを見ると、笑顔のむこうに確かな怒りを見る。そりゃ、勤務中のテンダーが酔っ払えば誰だってそうなる。
へらりと笑って見せて、俺は慌ててトイレへ駆け込む。
冷たい水で顔を洗って、気合ついでに自分の頬を引っ叩いてみる。
「なにやってんだろうなー、自分」
溜息混じりに呟いた。いくら疲れているとはいえ、これっぽっちで情けない。
アルコール特有の気持ち悪さに顔を顰めた。吐けるものなら吐いてしまいたかったけど、それも出来なかった。
ふらふらと戻ると、律は帰り支度を始めていた。
「帰んの?」
「ああ。明日も撮影で朝早いんだ」
律はクレジットカードを俺に手渡しながら、面倒くさそうに言う。
「さすが、売れっ子モデル」
「勘弁しろよ、芹生までそういうこというのさ」