同居から始まる恋もある!?
こう見えて律は、いま若い子たちに絶大な人気を誇るファッションモデルだ。
普段は、口も悪いし繊細さの欠片も無いくせに、雑誌で見る彼はまるで別人。これがプロかと常々思う。
『現代に現れた硝子王子』という、キャッチフレーズを見たときは思わず吹いたけど(……そして、顔を真っ赤にさせた律に本気で殴られた。男の照れ隠し、これっぽっちも可愛くない!)、男の俺から見ても、彼はとてもカッコいい。
ここのところ、それまでのイメージを覆すようなブランドを次々と着こなし、更にモデルとしての幅を広げている。
「芹生も、折角カメラ映えする顔してんのに、もったいねえよ。金困ってんだろ、なんなら紹介してやろうか?」
「なんだそれ。冗談やめろよ」
笑い飛ばして、律に会計の済んだカードを手渡す。彼は少し不満そうなカオをしつつ、マスターに会釈をして帰っていった。
「君も、今日はもう帰りなさい」
「え!?」
驚いてマスターを見ると、相変わらずニコニコと読めない笑みを浮かべている。
「客も少ないしね、人件費削減」
「……だって、」
「いいから」