同居から始まる恋もある!?
反論しようと口を開くと、マスターは手をヒラヒラと振ってみせて、俺をカウンターから追い出した。
「ほら、いつまでタダ働きで時間延ばす気だい?さっさとタイムカードを切ってくれよ」
背を向けられてしまい、俺の言葉は言い終えることなくその場でかき消されてしまった。
―……なんだよ、それ。
不満に思いながら、地下から地上へあがれば、空は薄っすらと白みはじめていた。
初夏の朝の、生暖かい湿った風が心地良い。
俺は、もしあの場で出来るとすればなんと反論していただろうかと考えた。
「……俺、結構欲張りなほうだと思うんだけど」
結局、そんな陳腐な言葉しか思い浮かばなかった。