同居から始まる恋もある!?
振り向けば、そこには早朝の景色とまったく合わない、派手な女の子が立っていた。
朝帰りといった感じで、髪の毛もメイクも少しくたびれている。
「……どちらさま?」
「酷い、芹生さんたら」
―名前を知られている!
もしかして、バーの客だろうかと記憶をめぐらすも、ぴたりと当てはまる人物は思い出せない。記憶力は良いほうなのに。
「美帆だよ」
「ミホ?」
「サチのしんゆう」
え、と一度一緒に酒を飲んだ彼女を思い浮かべて、そっと照らし合わす。
目や鼻のパーツは、確かにぴたりと一致した。
「ああ……!美帆ちゃん、久しぶり!!」
大げさなくらいに声を上げれば、彼女は当然のことながら、ものすごく不機嫌そうに口を尖らした。
それにしても、別人だ。女の子って化粧で随分と変わるっていうけど、ここまでとは。
「……芹生さん、思ってること顔に出しすぎですよ」
「あは、ごめんね」
笑って誤魔化そうとすれば、「まったく」と言って頬を膨らましつつも、美帆ちゃんはにこりと人懐こい笑みを浮かべる。見た目こそ違うものの、やはりあの日知り合った彼女だった。
「美帆ちゃんて、そんなカッコもするんだ」
「まあ、仕事で。キャンギャルやってるんですけど、一晩中立ちっぱなしだったから疲れちゃった。足もむくむし。けどお金がいいから、結局やめられないんですよね」
そう言って肩を竦めた。