同居から始まる恋もある!?
「兄貴?サチ、兄貴なんかいたの?初耳なんだけど」
「違う!兄なんかじゃなくて、イトコでしょうが!イトコ!!」
「深山芹生です。どうぞよろしくね」
「ちょ、ちょっと!勝手に挨拶してるわけ!?武、いきなりごめん。よろしくなんてする必要これっぽっちもないんだから、気にしないで」
「あ、酷い!昔は『せりょう兄ちゃん(ハアト)』って、いつも俺の後ろをくっついて来たくせに」
ぷうっと、頬を膨らませる芹生。大の大人がやっていいリアクションじゃない。全然可愛くなんてない。
突然の来訪者の振る舞いに、必死に自分を落ち着かせようと深呼吸を数度する。
入っていいだなんて一言も言っていないのに、芹生は図々しくも勝手に部屋に上がりこみ、物珍しそうにきょろきょろと周囲を見渡している。
―て、ちょっと待てよ。
「サチ、パンツ落ちてる」
「うぎゃあああ!」
わざわざ両手で広げて持つ芹生から、乱暴に引っ手繰る。
芹生はやれやれと肩を竦めながら、サチももう20歳なんだから、もっと色気あるの着けたほうがいいよ、とかアドバイスをしてくる始末。
羞恥のあまり、いっきに顔に血液が集中する。