同居から始まる恋もある!?
「サチの彼氏って、料理も上手だから。芹生さんの代わりに朝食だって、サチのためならすぐ作ってくれます。と、いうことで。あたしのうち、ここからすぐなんです!行きましょっ」
そういいながら、美帆ちゃんは自然な流れで腕を組む。
結局俺は、5つも年下の女の子の誘いすら断れず、なんともセレブリティな彼女のマンションで、コーヒーをご馳走になることになってしまった。
美帆ちゃんの話に相槌を打ちながら、にこりと笑って見せる。
ああ、そっか。
サチのことを、そんなに風に大事にしてくれる男がいるなら、安心じゃないか。
俺はここで、ちょっと遠くから見守りつつ、微笑んで応援しなければいけない。
それが、サチの兄貴役として、一番かっこいい姿。
ずきりと胸が痛んだのは、気のせいに決まってる。そんな必要ない。
俺は、今度こそ尊敬されるような、サチの理想の姿のまま去るべきだ。
それが出来る最後のチャンスが、この期間限定の夏なのだ。