同居から始まる恋もある!?

誰が見ても上機嫌の美帆は、カフェラテとベーグルをトレーにのせ、外にあるテーブルに座りわたしに手招きをした。


「ふあー……、眠い。きのう久々に深夜出勤だったからさ」

「寝てないの?」

「まあね」


美帆は、タバコを一本口に咥え、緩慢な動作で火をつけ紫煙を吐き出した。


「あ、そうだ。ねえ、サチ…」


にっこりと、口元に弧を描きながら、美帆は鞄の中からブランド物の名刺入れを取り出した。


「このお店の場所、知ってる?今度行こうと思うんだけど、住所しか載ってないし、ホームーページとかもないみたいなのよねェ」


受け取ったそれを、まじまじと見る。


Bar Rokka Ballad
Bartender Miyama Seryo


どこまでもシンプルな名刺には、間違いなくそう記載されていた。

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