同居から始まる恋もある!?
美帆は嬉しそうにそう言いながら、ベーグルを頬張った。


「で、誘っちゃった。あたしの部屋」

「っぶ!」

「ちょっと、サチ…汚いなあ」

「あんたねえ、こんな昼真っからそういうことを」


含み笑いをしたまま、多くを語らない美帆。

いつもだったら、聞きたくないようなキワドイ話だって、なんの躊躇もなく(ついでに場所も弁えずに)大声で報告してくるくせに。


「朝ごはんにフレンチトーストも作ってくれて。凄いね、芹生さんて…。優しいしさ、女の子の扱いも上手だし」


ああ、どうしよう。

わたしはどんどんと自分の顔から表情が消えていくのを実感する。芹生を語る美帆の口を、本気で塞いでしまいたかった。


「ねえ、サチ。場所知ってる?芹生さんの…」


指先からこころまで、ぴりぴりと冷えていく。
< 76 / 173 >

この作品をシェア

pagetop