同居から始まる恋もある!?
マンションから少し離れた土手を歩く。
既にあたりはお祭りムードで、屋台が道に沿ってずらりと並んでいる。
カキ氷、りんご飴、ベビーカステラに金魚すくい。
魅惑的なものばかりで、きょろきょろと忙しなく目で追ってしまう。
「サチっ」
掛けられた声にふと顔をあげれば、あっという間にヒトの波に視界を遮られて芹生の姿を見失ってしまう。
どうしよう、そんな風に思ったのもつかの間、「こっち」と短い声と同時に右手が握られていた。
「……せ、せりょうっ」
「ほら、また迷子になるよ」
ぐっと引かれた先に、微笑む彼がいた。
はい、と手渡されたのは1番好きなイチゴのカキ氷。いつの間に買っていてくれたのだろう。