同居から始まる恋もある!?
ありがとうと言って受け取る。
ストローですくって一口食べれば、甘いシロップがやわらかく溶ける。嬉しくて、胸が苦しい。
「このさき、土手に座って見よう」
芹生は相変わらず甘いものよりもお酒が好きなようで、きんきんに冷えている缶ビールを片手に芝生に腰を下ろした。
お互いに、何も喋らない。
気まずさというよりも、なぜだか切なさに近い感情が溢れてどうしようもない。
「サチ、」
視線はこちらに向けないで、芹生はわたしの名前を呼んだ。
「なに…」
「あのさ、…、……」
見上げていた夜空で、大輪の花がひとつ弾けて、数秒遅れでドオォオンという音が響いた。
おかげで、芹生の言葉は"あのさ"しか聞こえずじまいだ。
「聞こえないっ」
「あは、すげーなっ!地元の花火大会に負けてないじゃん!」
次々にあがる打ち上げ花火に、空が夏色に彩られる。