同居から始まる恋もある!?
Summer #8
『わたし、芹生のことお兄ちゃんだなんて、もう思ってないから』
どこか苛立った様子のサチが放った言葉に、俺は自分でも驚くぐらいにショックを受けてしまった。
情けないことに、必死にそれとわからないようただ笑顔を浮かべることしか出来なかった。
サチはじりじりと俺から距離をとって、パッと俺に背を向けて駆け出していく。
「サチ!」
慌ててその手をとろうとするも、するりと抜けて人の波の中に飲み込まれてしまった。
こんなところで、女の子ひとりなんて危ない。
まだ少し残っている缶ビールをゴミ箱に投げ捨てて、サチを追うも一向に見当たらない。
きょろきょろと見渡して溜息をついた。
「……泣いてた、サチ」
久しぶりに走ったせいで、どくどくと煩い心臓を軽く叩きながら、そっとサチの顔を思い浮かべる。