同居から始まる恋もある!?
俺は、思わずその場でずるずるとしゃがみ込んで膝に顔を埋めていた。
わからないことばかりだ。
そりゃ、俺が非常識な大人だってことはとっくにわかってるけど。そんなことじゃなくて。
「なんで泣くんだよ」
泣きたいのはこっちだよ。まぶたをぎゅっと閉じて、瞼の裏に浮かぶサチは随分と悲しげな顔をしていた。もともと、滅多なことがない限り泣くことをしない、サチが。
(サチが泣いたのは確か…土手から転げ落ちて足の骨を折ったときと、ペットの金魚が死んだときだけだ)
そんなに嫌だったのだろうか。
言わなかっただけで。
「……誰が泣くんですか?」
「え」
俺は慌てて顔をあげると、そこには見覚えのある顔があった。こんな、エンもユカリもない土地で。
「えーと、」
「芹生さん、っスよね。そんなところでしゃがみ込んでると邪魔ですよ」