同居から始まる恋もある!?
武君と別れて、俺はひとりでマンションへと向う。
すっかり人波も去った屋台で、売れ残っていた飴細工を2本買った。
折角の祭り、充分に楽しむ前にサチを怒らしてしまった、せめてもの罪滅ぼし。
遠くから見えるサチの部屋に電気はついていない。今日は美帆ちゃんの家に行くと、先ほど武君のおかげで知ることが出来てよかった。
でなければ、きっと今もサチを探し続けていたのだろうから。
―その時だ。
ポケットの中で、スマホが着信を知らせる。ディスプレイには、友人の律の名前が表示されていた。
こんな時間に珍しい。
「もしもし?どうしたんだよ、連絡不精なお前が電話なんて」
「……大変だ、芹生っ」
「なんだ?」
電話の向こう。律の様子は随分おかしかった。
「おい、律!」
「マスターが倒れた」
一瞬、言葉の意味がわからなくて、自然と足を止めてしまった。