想いの歯車→SFトピ6th
愛に理由はいらない

あのなあ…

 はう…

 唐突にキュノスが脚を止め、恍惚の表情を浮かべている。

 視線の先には…ブラッドリー装甲車。

「砲塔のシャープなライン…素敵ですぅ…」

 頬が赤くなっていたりする。

「お前…自分がロボだからって、何のどこに惚れてんだよ」

 俺は呆れ顔で、キュノスの髪を引っ張る。

 キュノスはメイドロボとしては性能がよろしくない。

 洗い物をすれば皿を割るし、買い物に出れば道に迷う。

 ロボのくせに、やたらと人間くさいのだ。

 中古で買ってきたジャンク品に余ったパーツ組み込んで直したから、メインプログラムか乱数データにエラーでも起きたかな…

 大衆向けのサポートロボには、普通そこまでの人間らしさはない。

 状況判断や思考を司る乱数データが、やや大雑把に設定されているからだ。
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