想いの歯車→SFトピ6th
「だいたい、なんでメイドに引っ張られて陸軍博物館なんて来なきゃならないんだよ」

 頭を掻きながら辺りを見回すと、一台のジープが目に入る。

「こいつは…ワイルドジャックじゃないか」

 何年か前に見た戦争映画で、主人公が敵軍の倉庫から強奪したコンバットビーグルだ。

「ハンヴィーを改造したんだよな、確か」

 しげしげと見ていると、キュノスがとてとて駆けてくる。

「随分古いジープですねぇ。わ~、塗装の下が錆び錆びですぅ」

「映画撮影のために、実車を改造したんだ。主人公がこいつに乗って、倉庫内を走り回ったんだよ」

 説明してやるが、あまり興味がなさそうだ。

「なんだ、こういうのには惹かれないのか」

「なんていうのか…不自然な感じがするんです。息苦しそうな…」

 キュノスはワイルドジャックを一瞥しただけで、それきり全く関心を示さない。
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