1ast present

ケータイから漏れた陸の声が
暗い路地裏に響きわたる。

「りくっ…!」

男は驚いたのか
あたしから少しだけ体を離した。

手は強く繋がれたまま
「電話でていいよ」とだけ言って
またあたしをどこかへ連れて歩きはじめる。


「も…もしもし陸?」
『早紀?大丈夫?どした?』
あたしは男の顔色を伺いながら答える。
「あ、あたし、ナンパされて…」
『はぁ?ナンパ?!』
「う、うん」
『何もされてない?』
「今は手を繋がれてどこかに連れてかれてるの…」
『…ふりほどけねぇの?』
陸の声が少し低くなる。

「無理、外国人だし…怖いよ」
『…ほかに何もされてねぇ?』
あたしは震える肩を沈めて
精一杯陸に話しかけた。
「キ…スされたの。無理矢理…」

バンッ―!!!


と電話の向こうから
何かを殴るような音がした。
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