1ast present
「じゃぁ早紀ちゃん降ろすから、…あぁオッケじゃぁまたな」
シンジさんは電話を切って、
あたしに優しく微笑みながら
ケータイを渡してくれた。
「あのっ…助けてくれてあり…」
「礼はいらんよ♪女の子なんやけん
今度から気をつけなよ?」
「でもっ」
「えぇから。陸が待ってる。
早く降りて、会ってきな」
あたしはぺこりと頭を下げて
車を降りた。
「あそこで待ってな!陸の野郎飛んでくっから☆
じゃあな♪」
シンジさんが言ってたのは
あそこの街灯のことみたいだった。
車と単車の列が見えなくなってから、
あたしはそこへ向かった。
陸が待ってる…―。
おかしいな、なんでこんなに
心臓がバクバク鳴ってるんだろ?
…どんな人だろ?
あたしは街灯まで歩いた。
上から照らす光をみつめて
高鳴る鼓動を一回一回数える。
眩しくなって、下を俯いたとき…―
「早紀?」
あたしの名前を呼ぶ声とともに
向こう側から、男の人が姿を現した…。