1ast present
あたしは顔を声のした方に向けた。
…あれ?
あたし、この声聞いたことある…―。
「やっぱ早紀じゃん?俺俺っ!陸!」
街灯の明かりの中に現れたのは
優しくて無邪気な笑顔の陸だった。
「う…そ陸っ?!」
不覚にもその笑顔にドキドキしてしまった。
ヤバい…可愛いんだけどっ
陸の顔をじっと見つめたまま
自分の顔がだんだん熱くなってくるのを感じた。
「何じろじろ見よんやぁ?」
陸はほっぺをかきながら首を傾ける。
「いやっなんでもない…てかっありがとうっ」
あたしは深々と頭を下げた。
「あははははっ!早紀面白いなぁっ」
陸はあたしに近づき頭をわしゃわしゃと撫でた。
…あれ?
あたし、この手も知ってる…―。
陸が手を離した瞬間
スカルプチャーの香りがした。
「気にすんな♪夜の一人歩きは気ぃつけな?」
「は、はい」
「よっしゃ、んじゃ俺んち上がりな」
「えぇっ?!」
「ははっもしかして早紀、エッチなこと考えた?」
「ば、ばかっ違うよ!」
あたしはなぜか焦って答える。
「大丈夫、俺んなことせんで☆」
「う、うん…ねぇ陸?」
「ん?」
「あたしたち、前にあったことある?」
「はぁ?…早紀お前…
俺様が背中さすってやったこと覚えてないん?」