1ast present
「ふぇぇっ…ゎぁぁ…っひっく」
あたしは本当に泣き虫。
辛くても嬉しくてもとにかく泣く。
小さい頃から、それだけは直んないんだ…
でも、あたしは誰にも
声をこんなに上げて、涙で顔をグシャグシャにして
子供みたいに泣きじゃくる姿なんか
見せなかった。
強がってたかった…。
あたしは独りでも平気だって…
誰にも助けられなくても
大丈夫なんだって。
それなのに
「どぉして陸は初めて話すあたしの心
全部読みとるようにゆえるんよっ!
誰にも…っ誰にもゆわな…ぅぅっ」
言葉が最後まで繋がらない…
誰にも見せる気なんて
こんなあたしを見せる気なんて
なかったのに…
「俺も同じや」
「…え?」
あたしは顔を上げて
陸の方をみた。
「俺も、人間不信なんよ。
俺、全然良い奴なんかじゃねぇし、
むしろ性格とかクソ悪い。
…
俺があの連中連れるようになったのも
俺が、こんな奴に成り下がったのも
全部、周りの人間がしたことや」
あたしはこぼれる涙を必死に止めながら
陸の話を聞いた。
「誰も信用なんねぇ。
誰も守ってくれねぇ。
この汚い世界ん中じゃ、
自分しか信じていけねぇんだよ。」
そう…この世は汚い。
そしてあたしは真っ暗闇の中を這い蹲って生きてる。
「だから、暗闇の中に足を入れた。
そしたら、俺と似たような思いを持った奴もたくさん居た。
…早紀もほとんど一緒やろ?」