1ast present

車を降りたあたしは
家でシャワーを借りて浴びた。

千尋はバスルームのドア越しに
あたしの側でずっと居てくれた。

「早紀?」
「ん、なぁに?」
「今日もやったん?」

「…」

あたしは黙ったまま
柔らかい泡に体を包む。

「あたし早紀の体が心配やよ」
「平気やよ。今日はちょっと
体調がもともとよくなくて…」

「でもそろそろ苦しいでしょ」
「そんなことな…」
「そんな顔してるよ。
早紀、止めろとは言わない、
けど体は大切にして。」

あたしの声は千尋に遮られる。

千尋の声は力強い。
あたし、また心配かけてるんだ…

「…うん。ごめんね」
「謝らんでいぃよ。ゆっくり洗ってな?」


何もかもお見通しなのかな
と、思った。


別にお金がそこまで欲しい訳じゃない。
バイトができない高校で、
ちょっと狭苦しい感じだけど。

だからと言っても、
セックスで快感を覚えてもいない。
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