1ast present

あたしはさっき会った
スカルプチャーの香りの
人の話をした。


「名前とか聞かなかったんや」
「うん、なんかすぐ行っちゃって…」

「えぇ人やね、そのひと。」
「うん。ちょっとドキドキした」
「えぇっ早紀がぁっ?」

千尋は驚いてあたしの顔をのぞき込んだ。

「ひどくなーい!?
早紀にだってそーゆうのは一応あるよぉっ
女の子だしっ?」

「あははっ珍し〜っ!
もしや運命じゃ〜ん?」
「ばかじゃん千尋〜っ」


運命。


このときこんなこと、あたしは微塵にも思わなかったな…

ウンメイなんて漢字変換すら
されてなかったんだと思う。


「あっそうや、さっきね
由佳があたしに男紹介してくれたんよ」
「マジで?どんな人?」

「わかんない。まだ連絡してないもん」
「してみなよぉ〜!実はむっちゃえぇ男かも?」
「あははっあたし簡単にオチないよぉ」


なんとなく。


ホンマになんとなくメールした。
何も考えない。
メル友になろう的なことも、ホンマに何も。

『早紀ですはじめまして。
由佳から紹介して貰いました。
よかったら連絡待ってます』

「で、いいかなぁ〜」
「いぃんじゃん?送ってミソ♪」


【メールを送信しました。】



あたしたちはなんとなくワクワクしながら
彼からの返信を待った。
< 9 / 46 >

この作品をシェア

pagetop