恋嘘

遠ざかる君


ガラッ…

龍が教室に帰って来た。

うかない顔をしている。

どうしたんだろうか。

あたしは気になったので声をかけた。

「龍?どうかした?」

あたしが声をかけたら龍は驚いた表情をした。

「…何でもねぇよ。」

龍が素っ気ない。

今までの龍と違う。

「何でもなくないでしょ。顔がうかないよ。」

あたしが言うと龍は立ち上がった。

バンッ!

机を叩いた。

あたしは肩がびくっと動いた。

「…っせぇんだよ!一人にさせろよ!……つかもう俺に話かけんな。」

龍はそれだけ言い教室を出て行った。

いつもと違う龍。

「…何よ…」







「どうかした?」

「へ?」

あたしは学校が終わり颯くんと喫茶店に来ていた。

告白の返事をするために。

「いや?なんかさぁ龍が今日変だった…。」

あたしは颯くんに言った。

「…俺のこと考えてくれてないんだぁ……」

颯くんは悲しそうな顔をした。

潤んだ瞳に長いまつげ。

颯くんはいつ見ても整った顔をしている。

龍とは…

龍とは…

違う……

いつの間にか龍と颯くんを比べるようになった。
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