きみといつまでもいたい

逃避



樹と聖夜が一郷龍から連絡を貰ったのは、夜も明けようとしていた頃だった。


「ミルクが見つかった。今、治療の為、病院にいる」


その語気には怒りが込められ、今にも爆発しそうな様子が伺えた。


「怪我、ですか?」

「怪我はたいしたことはない、が……

古谷くん、いったい今夜、ミルクとセイヤくんの間に何があったんだ?

ミルクはなんでこんなことに……」

「すいません、僕も詳しいことは何も……

帰ったらセイヤは荒れてるし、ミルクちゃんは行方不明と聞いて驚くばかりで……

兎に角、直ぐに行きます」



「いや……、いまは……」


そう言いかけた言葉は、樹の焦る気持ちに消されてしまった。
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