きみといつまでもいたい
古谷樹によれば、最終的には自動車整備会社の整備不良が認められ、亡くなった古谷氏の過失は取り消された。
彼の車は、事故前日に定期点検から戻ったばかりだったのだ。
にもかかわらず、ブレーキオイルの配管に漏れがあり、彼の車は制御不能の状態に陥った。
その大事故の折、一人生き残ったのが夫妻の一人息子である古谷聖夜。
当時12歳だった彼である。
衝突の衝撃で車外に放り出された彼は、奇跡的に火災を免れ一命を取り留めた。
だが、複雑骨折箇所多数、脳挫傷による昏睡状態が長く続き、その死も時間の問題であろうと絶望視されていた。
意識が再び戻ることはないだろう、と誰もが思っていたのだ。
奇跡が起こったのは間違いない。
彼は再起し、辛い機能回復訓練を経て蘇った。
その命を今度は、自ら心を閉ざすことで消し去ろうとしているのだ。