きみといつまでもいたい
「じゃ、聖夜くん、そこの長椅子に横になって。
リラックスして目を閉じてもらえるかな」
ジャックの誘導に素直に従った聖夜は、長椅子に身を横たえた。
樹に説得され、心理療法を受けることに同意をした聖夜だったが、彼は心を開く積もりなど毛頭なかった。
「カウンセリング」
聞き慣れない言葉に不安を感じつつも、彼は固い意志をもってこの場に臨んでいた。
彼に未来への希望は無かった。
だから現実に抗う必要もない。
そして、聖夜は静かに目を閉じた。
――闇は嫌いだ。
と、聖夜は思った。
どれだけ長い間、自分が闇の中に放置されていたかを思い出したのだ。
そして、いつも闇の中から、彼を救い出してくれた愛しい人の声を思った。
「セイ……」
その呼びかけ故に、彼は自分を失わずに居られたのだ。
――闇は嫌いだ。
目を閉じると聞こえる、美留久の声に聖夜は身を硬くした。