きみといつまでもいたい
「君の側には誰がいるのかな?
それは君が一番大切に思っている人だろうか?」
聖夜の右手が宙を彷徨い、きつく握られたと思うと身体の上にバサリと落ちた。
「君はその人を大切に守りたいと思っている。でも、それができない」
聖夜は、何故彼が自分の心の奥底を不用意に荒らそうとするのか理解に苦しんだ。
「反対に守られていることに耐えられなかった」
「君は弱い、臆病だ」
「でも生きている」
「生きようと思った」
「でも今、君は自分を無にしようと殻を被って逃げている」
「それはその人に対して寧ろ卑怯な行為じゃないのかな」
突然、聖夜は身を起こし、ジャックに向かって声を荒げた。
「それは、僕が最低の人間だからですよ!
僕は誰からも愛される資格などない、最低の人間なんです!
僕は、美留久の愛を踏みにじって傷つけた。
もう生きる価値さえない。
何で樹おじさんは、僕を生かしておこうとするのかわかりません。
僕なんて死んだ方がいいんだ。
僕の為にも、みんなの為にも!」
「それが、君が心を閉ざす理由なのかい?」
拳を硬く握り締め、感情を高ぶらせた聖夜を前に、その男、ジャック村上は優しく微笑み、手を差し延べた。