きみといつまでもいたい


「聖夜くん、もしかして君は事故の真相を知らないんじゃないのかね?」


「事故の真相?

まさか、両親が生きている、なんて冗談は言いっこなしですよ」


ジャックの興奮をよそに、聖夜はあくまで冷静だった。


「そうじゃない。

何故あの事故が起きたのか、という真相だよ。

そうだ、迂闊だった。

君は事故の後、長い間昏睡状態だったんだ。

事故の真相など、知る機会がなくて当然だ。

そうだよ。

早くそこに気づくべきだった!」


「事故の真相なら知っていますよ。

父の車は信号を無視して交差点に突っ込み、車は大破、その後炎上した。

事故の一部始終をみていたのは僕だけなんです。

そんなことくらい、ちゃんとわかっていますよ!」


聖夜は噛み合わない会話に苛立っていた。

ジャックが何を言わんとしているのか、見当もつかなかったのである。
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